工場の社内SEをしながらAIを仕事で使い始めて、1年ちょっとが経ちました。

「AIで仕事が劇的に変わった」みたいな話をよく見かけますが、自分の場合はそんなドラマチックな感じではなくて、少しずつ使える場面を増やしながら今に至っています。劇的じゃないけど、確実に変わったことはあるので、それを書いておこうと思います。


ChatGPTを最初に使ったのは「Excelのエラー解決」

2023年の春頃、現場の担当者から「このExcelのマクロが動かなくなった」という相談を受けました。VBAのエラーで、原因がすぐにわからなかったのでChatGPTにエラーメッセージを貼り付けてみたんです。

すると、原因の候補と修正例が出てきました。そのまま使えたわけじゃなかったんですが、「ここを確認してみて」という手がかりをもらえた感じで、そこから5分くらいで解決しました。

「これは使えるかも」と思ったのがそのときでした。


現場で実際に使っている主な場面

1年使ってきて、現在「これは安定して使える」と思っているのは主に4つです。

1. コードやマクロのデバッグ・説明

VBAやPythonのエラーを調べるときに使っています。「このエラーの原因を教えて」よりも「このコードをこういう環境で動かしたらこのエラーが出た。原因と修正案を教えて」という形で聞いた方が、回答の精度が上がります。

細かいバグの原因を探るのに以前は30分〜1時間かかっていたのが、半分以下になった感覚があります。正確な計測はしていないのでわかりませんが。

2. 手順書・議事録の下書き

現場向けの操作手順書を作るとき、大まかな構成をChatGPTに作ってもらってから手直しするという方法を使っています。1から書くより早いです。

ただ、業界用語や設備の固有名詞が正しく反映されないことが多いので、ChatGPTが出してきた下書きをそのまま使えることはほぼありません。たたき台として使うイメージです。

3. メールの文章確認

社外に送るちょっと重要なメールを書いたとき、「失礼な表現や不自然なところがないか確認して」とChatGPTに頼むことがあります。自分で書いたものをセルフチェックするより、別の視点を入れることでミスを減らせる気がしています。

4. 技術的な用語や仕組みの説明

「PLCとはなにか、中学生でもわかるように説明して」みたいな使い方です。現場の人にITの仕組みを説明するとき、わかりやすい例えを考えるのに時間がかかっていたのが、少し楽になりました。


うまくいかなかったこと

正直に書くと、失敗したことも結構あります。

最新情報が間違っている

使い始めた頃、ChatGPTに「最新のWindowsのアップデートで何が変わったか」と聞いて、出てきた情報をそのまま資料に書いてしまいました。後から確認すると、バージョン番号が古くて修正が必要でした。

ChatGPTには学習データのカットオフ日があって、それ以降の情報は持っていません。最新情報を聞くツールではないというのを理解してからは、このミスはなくなりました。

細かい数字の信頼性

「この設備の消費電力の平均はいくつか」みたいな具体的な数字を聞くと、もっともらしい数字が出てきますが、根拠が確認できないことがあります。公式のドキュメントで確認できるものは、ChatGPTで聞かずに直接調べるようにしました。

長い会話で前の文脈を忘れる

1つの会話の中でいろいろ聞いていると、最初に伝えた条件を忘れてしまうことがあります。「現場はWindowsのXXバージョン」という前提を伝えて話を進めていても、途中から前提と違う回答が出てくることがありました。大事な前提は都度リマインドするか、新しい会話で整理し直すようにしています。


副業の情報発信にも使っている

このサイトの記事作成でも、AIを補助的に使っています。

「この制度について正確な情報をまとめて」という使い方ではなく、「このテーマの記事の構成案を出して」「この文章でわかりにくいところはどこか」という使い方が中心です。

調査や執筆の下準備を早くするツールとして使うイメージで、記事の内容そのものは自分で確認・編集しています。NISAや税制の情報は法改正があるので、ChatGPTの情報をそのまま使うのは危ないと思っているからです。


1年使って思うこと

ChatGPTは「質問するツール」ではなくて「思考を整理するパートナー」という感覚が一番しっくりきます。

何かを調べるとき、ゼロから考えるよりも「たたき台を出してもらって、それを検証する」という使い方の方が効率がいいです。コードのデバッグも手順書の作成も、「たたき台→自分で検証・修正」という流れが多いです。

あと、正直に言うと「使いこなせている」という感覚はまだないです。「もっとうまく使えるはず」という感覚が常にあります。プロンプトの書き方を変えると結果が大きく変わることがわかってきたので、引き続き試行錯誤中です。

工場の社内SEという、それほどAI先進的ではない職場でも、使える場面はあります。「AIは難しそう」と思っている人に少しでも参考になれば。