noteで初めて有料記事が売れたのは、2022年の終わり頃でした。
その頃は、記事を書き始めてから4〜5ヶ月が経っていて、毎週1本ペースで投稿していましたが、収入はゼロでした。最初のうちは「まず無料で100本書いてから有料にしよう」くらいの気持ちでやっていたんですが、フォロワーが20〜30人になってきた頃に、試しに1本だけ300円の有料記事を設定してみました。
「まず1本試してみる」というより、「どうせ売れないだろうけど、設定方法だけ覚えておこう」という感覚でした。
翌日の夜、スマホに「購入されました」という通知が来ました。
金額は300円でした。
何か大げさな感情が来るかなと思っていたんですが、実際は違いました。通知を3回くらい見直して、「本当に売れたんだ」という実感が少し遅れて来て、なんとなく落ち着かない感じになって、それから少し時間が経ってから「やってみてよかった」という気持ちになりました。
300円というのは、コンビニのコーヒー1杯より少し高い程度の金額です。時給換算すれば1円にも満たない。でも、それまで自分の時間と労力をお金に変えた経験が「本業の給料」しかなかった私にとって、「書いたものを誰かが価値を感じて買ってくれた」という体験は、金額とは別の意味がありました。
副業を始める前、私が思っていたのは「稼げるかどうかわからない状態で時間を使うのは不安だ」ということでした。本業の仕事をして疲れた夜や週末に記事を書いて、それが売れなければ徒労に終わる。その不確かさが、長い間副業に踏み出せなかった理由のひとつでした。
最初の300円が売れたことで、この不安の構造が少し変わりました。
「ゼロか、価値があるかの二択」ではなく、「300円の価値はある」という事実が手元に残った。その小さな事実は、「また書いてみようか」という気持ちを作るのに十分でした。
その後、noteの有料記事は少しずつ増やしていって、2023年には月に3〜5本ペースで公開できるようになりました。毎月の収益は数千円から数万円の間で安定しないですが、「副業でお金を稼ぐ感覚」はその最初の300円から始まったと思っています。
副業を始めるときに「いきなり月5万円」を目標にする人がいますが、個人的には最初のうちは「最初の1件」または「最初の1円」を唯一の目標にした方がいいと思っています。理由は、それが達成できれば「自分にもできる」という具体的な根拠になるからです。根拠のない自信より、小さな実績の方が次の一歩を踏み出しやすい。
大きな目標は「続けるための燃料」になりますが、最初の一歩は小さな目標の方が動きやすい。300円の通知は今でもスクリーンショットで保存してあります。副業を続ける気持ちが折れそうになったとき、たまに見返します。
その後どうなったか
あの最初の300円から、1年半ほどが経ちました。
2023年を通じて記事を書き続けて、年間でnoteの有料記事からの収益は合計で4万円台になりました。月平均にすると3,500円ほどです。「月5万円」という最初に描いていた目標には全然届いていなくて、正直なところ途中で「このペースじゃ意味がないんじゃないか」と思ったことも何度かありました。2023年の夏ごろは2〜3ヶ月、ほとんど記事を更新できない時期もありました。本業が忙しくなったのもあるし、単純にネタが思いつかない時期が重なって、書くモチベーションが落ちた感じでした。
それでも続けられたのは、月に1〜2件は誰かが購入してくれる状態が続いていたからだと思います。3ヶ月まったく更新しなくても、過去に公開した記事が売れている通知は来ていた。それが「完全にゼロ」にはならないという感覚を与えてくれていて、「また書いてみようか」という気持ちを繋ぎ止めていました。
2024年に入ってからは少し変化があって、特定の記事がまとまった件数売れる経験をしました。確定申告の時期に「会社員の副業と確定申告」というテーマで書いた記事が、2〜3週間で20件以上売れたんです。それまでの月1〜2件のペースとは全然違う動き方で、「需要のある時期に需要のある内容を書く」という感覚を初めて実感しました。
やってみてわかったこと
2年近く続けてわかったことをまとめると、副業で継続的に収益を得るのは「始めること」より「やめないこと」の方がずっと難しいということです。
最初の300円は本当に誰でも達成できると思っています。記事を書いてnoteに公開して有料設定をする、という行動自体は難しくない。難しいのは、売れない期間が続いたときに続けることと、ある程度売れるようになってからも「もっと良くしよう」と改善し続けることです。
私が途中で気づいたのは、「書いた記事の本数」より「誰の何の悩みに答えているか」の方が収益に直結するということです。最初の頃は「自分が書きたいこと」を書いていて、それでもたまに売れていたんですが、「読む人が何を知りたいか」を意識して書き始めてから、同じ本数でも反応が変わってきました。
あとは、思ったより時間がかかるということ。「副業で月5万円」という数字をよく見ますが、noteに限って言えば、コンスタントに月5万円稼ぐには、相当な試行錯誤と読者の積み上げが必要だと実感しています。最初の1年は「感覚をつかむ期間」として、収益より経験を積むことに重点を置いた方が現実的だと思います。
同じ状況の人へのアドバイス
「副業を始めたいけど何をすればいいかわからない」と思っている人には、まず「最初の1件」を目標にすることをおすすめします。月5万円でも月1万円でもなく、最初の1件だけを目標にする。
noteで有料記事を1本公開して1人に買ってもらう、クラウドワークスで1件の仕事を受けて報酬をもらう——金額は小さくて構いません。「自分のスキルや時間にお金を払ってくれる人がいる」という体験が、その後の行動の質を変えてくれます。
最初から大きな成功を狙おうとすると、「まだ準備ができていない」という感覚が邪魔をして動き出せないことが多い。小さい成功体験を積み重ねながら、少しずつ改善していく方が長く続けられます。もし今記事を書くことに少しでも興味があるなら、完成度を気にせずまず1本書いてみてください。
本記事は筆者の個人的な体験をもとにしています。収益を保証・確約するものではありません。副業を始める際は勤務先の就業規則や税務上の取り扱いを事前に確認してください。