iDeCoを始めたのは2024年の2月でした。制度自体を知ったのは2021年頃だったので、3年近く先送りしていた計算になります。
なぜ先送りにしていたかというと、正直に言うと「複雑そうで調べるのが面倒だった」というだけです。確定拠出年金・所得控除・拠出限度額・受取時の税務処理……という単語が並ぶと、それだけで気持ちが後退しました。「老後のことは40代になってから考えよう」という先送り思考とセットで、ずっと手を付けていませんでした。
動き始めたのは、NISAの積立設定を終えて少し余裕が出てきた時期でした。毎月の積立も自動化されて、お金の管理に少し慣れてきたタイミングで「次はiDeCoを確認してみようか」という気持ちになりました。
調べ始めると、思っていたよりシンプルな制度だとわかりました。私(会社員・企業型確定拠出年金なし)が使える場合、月2万円まで拠出でき、その全額が所得控除になる。年収550万円くらいなので、所得税率は20%と住民税10%を合わせて30%程度。月2万円の掛金なら年24万円が控除対象になり、節税額は年間で7.2万円前後になる計算です。
この「7.2万円の節税」という数字を見たときに、「3年間先送りして21万円以上の節税機会を逃していた」と気づきました。それで急に焦りが出てきて、その週のうちに口座開設の申し込みをしました。
開設先は松井証券にしました。口座管理手数料が0円で、信託報酬が低いインデックスファンドが揃っていたからです。申し込みから口座開設の完了まで、書類のやり取りも含めて3週間ほどかかりました。ここが唯一手間のかかった部分で、書類を1枚記入して郵送するだけなのですが、届いてから投資先を選んで設定するまでがやや手間でした。
運用する商品は、NISAと同様に全世界株式インデックスファンドを選びました。iDeCoは60歳まで引き出せないという制約があるので、長期投資に徹する商品でよい。松井証券には信託報酬0.1%台の商品があったので、そこから選びました。
掛金は最初から月2万円(上限額)に設定しました。生活への影響を先に確認するため、月1万円から始めようかとも迷いましたが、節税効果を早く最大化したかったので最初から上限にしました。
開始から数ヶ月が経過した段階での状況を正直に書くと、手続き後は「何もしなくていい」という安心感があります。NISAと同様、毎月自動で積み立てられるので、設定後は確認するだけ。確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」の欄に金額を記入するだけで節税が完結します。
会社の年末調整で届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載の金額をそのまま書けばよいのもシンプルでした。証明書は10〜11月頃に証券会社から郵送されてきます。
60歳まで引き出せないことへの不安は今もゼロではありませんが、生活防衛資金(6ヶ月分の生活費)は別に現金で持っているので、iDeCoに回しているお金は「今後20〜30年は絶対に使わない老後用の資金」として割り切っています。その割り切りができてから、月2万円を拠出することへの心理的なハードルが下がりました。
iDeCoを3年間先送りにしていたことは後悔しています。ただ、「NISAを先に始めてお金の流れに慣れてから」という順番でよかった面もあると思っています。いきなりiDeCoから入っていたら、制度の複雑さに混乱して途中でやめていた可能性もあった。「NISAで慣れてからiDeCo」という順番は、投資初心者には合っていると思います。
その後どうなったか
iDeCoを開始してから1年が経ちました。
月2万円の積立を継続しており、現在の積立元本は24万円になっています。運用商品は全世界株式インデックスで、NISAと同じ方針です。2024年末時点での評価額は28万円台で、元本に対して17%ほどのプラスになっていました。もちろん60歳まで引き出せないので「利益が出ている」という実感は薄いですが、節税効果も含めて考えると着実に積み上がっている感覚はあります。
節税効果についても実際に確認できました。2024年の確定申告で、iDeCoの掛金24万円分が所得控除になり、所得税と住民税を合わせて約7.2万円の節税になりました。NISAの利益は非課税なので税金がかからないのに対して、iDeCoは「今の税金を減らす」という効果があります。この違いを実感できたのも、始めてよかったことのひとつです。
ひとつ予想外だったことがあります。iDeCoは掛金を拠出した場合に限り節税になるのですが、掛金の変更手続きに1〜2ヶ月かかることが後でわかりました。生活状況が変わって一時的に掛金を減らしたいと思ったとき、手続きしてから反映されるまでのラグが想定より長かったです。緊急性がある場合は少し困ることがあるので、これは事前に知っておいた方がいい点です。
やってみてわかったこと
iDeCoを始めて一番わかったことは、「複雑に見えるものでも仕組みを理解すれば単純」ということです。
制度を調べる前は「確定拠出年金」「所得控除」「拠出限度額」「受取時課税」という言葉の並びだけで難しそうに感じていました。でも実際には「毎月一定額を積み立てて、その金額が税金から差し引かれる」という本質は単純で、細かい仕様はあとから必要になったときに調べれば十分でした。
難しそうな制度を敬遠するパターンは、iDeCoに限らずよくあると思います。FXや仮想通貨に比べると、NISAやiDeCoは制度の設計が「個人が使いやすいように」なっているので、見た目の複雑さと実際の難しさのギャップが大きい。最初の調べるコストを乗り越えると、あとは設定して放置するだけです。
もうひとつ気づいたのは、iDeCoの「60歳まで引き出せない」という制約が、逆に安心感を生むことです。NISAは利益が出ると「今売った方がいいかも」という誘惑が生まれやすいのですが、iDeCoはどうせ引き出せないので「売ることを考えない」という精神的な楽さがあります。長期投資を続けるうえで、この強制的な仕組みは意外と有効です。
同じ状況の人へのアドバイス
iDeCoを始めようか迷っている会社員の方へ一言だけ伝えるとすれば、「節税効果から逆算して考えると動きやすい」ということです。
自分の年収と税率から、iDeCoで年間いくら節税できるかを計算してみてください。年収400〜600万円の会社員なら、月2万円の拠出で年5〜7万円の節税になるケースが多いです。始めるのが1年遅れるごとに、その節税機会が丸ごと消えます。
口座開設の手続きは書類の郵送のやり取りがあるので2〜4週間かかりますが、手間自体は大きくありません。まずは証券会社の比較から始めてみてください。管理手数料が無料で信託報酬が低い商品を揃えている会社を選ぶことが最初のポイントです。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融機関・商品を推奨するものではありません。税制・制度の詳細は変更になる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。