手取り17万円という数字は、決して少なくない会社員が直面している現実だ。毎月の生活費を払えば残高はほぼゼロ、貯金なんて無理だと諦めている人も多い。しかし「手取り17万円からの貯金の教科書」が示すのは、収入の多寡ではなく「お金の使い方の順番」が貯金の可否を決めるという事実だ。収入が低いからこそ、正しい家計管理の型を身につければ、着実に資産を積み上げる道が開ける。
手取り17万円からの貯金の教科書 とはどんな本か
本書は、家計再生コンサルタントとして2万件以上の家計を立て直してきた横山光昭が監修した、低収入帯の会社員に特化した貯金入門書だ。
「貯金できない人は意志が弱い」という誤解を真っ先に否定している点が特徴的だ。貯金できない本当の理由は、固定費・変動費・特別支出の管理ができていないことにあると本書は断言する。横山光昭が長年の家計相談から導き出した「先取り貯金」と「費目別管理」の考え方が、手取り17万円という具体的な金額を軸に丁寧に解説されている。
難解な金融知識は一切出てこない。必要なのは給与明細と家計簿アプリだけで、読み終えたその日から実践できる構成になっている。貯金の仕組みを作ったことがない会社員にとって、最初の一冊として機能する内容だ。
会社員が押さえるべき3つのポイント
1. 貯金は「余ったらする」ではなく「最初に確保する」
本書の根幹はここにある。給与が振り込まれた瞬間に、貯金分を別口座へ自動移動させる仕組みを作ること。先取り貯金の額は手取りの10%が目安とされており、手取り17万円なら月1.7万円が最初の目標になる。
会社員の場合、給与の入金日が固定されているため先取り貯金との相性が非常によい。自動振替の設定さえ済ませれば、意志力に頼らずに貯金が進む。本書はこの仕組みを「貯金の自動化」と呼び、最初のステップとして強調している。
2. 固定費の見直しが節約の最大の打ち手
変動費(食費・娯楽費など)を削ろうとすると生活の質が落ち、長続きしない。本書が優先するのは固定費の削減だ。具体的には通信費・保険料・サブスクリプションの3つが見直し対象として挙げられている。
スマートフォンを格安SIMに切り替えるだけで月3,000〜8,000円の削減が見込める。不要な保険の整理や使っていないサブスクの解約と組み合わせれば、月1万円以上の固定費圧縮は現実的な数字だ。一度設定すれば継続的に効果が出る固定費削減は、低収入帯の会社員にとって最も投資対効果が高い節約行動だと本書は位置づけている。
3. 「消費・浪費・投資」の3分類で支出を可視化する
横山光昭が提唱する家計管理の核心は、すべての支出を「消費(必要な出費)」「浪費(無駄な出費)」「投資(将来の自分への出費)」の3つに分けて捉えることだ。
家計簿の記録が続かない人の多くは、支出の善悪を判断できていないために改善の方向性が見えなくなる。この3分類を使えば、何を削るべきで何は削ってはいけないかが明確になる。浪費の割合が高い費目から手をつければ、生活水準を大きく下げずに支出を圧縮できる。
この本が向いている人・向いていない人
向いている人
- 手取り20万円以下で貯金が月1万円未満の会社員
- 過去に家計簿をつけようとしたが3日以内で挫折した経験がある人
- 投資や副業より先に「まず貯金の習慣を作りたい」と考えている人
- 固定費を一度も見直したことがない人
向いていない人
- すでに手取りの15%以上を継続的に貯金できている人
- 家計管理の基本は習得済みで、資産運用の具体的な手法を知りたい人
- NISAやiDeCoの活用法を中心に学びたい人
本書は「貯金ゼロから脱出する」ための一冊だ。すでに貯金の習慣が身についている人には物足りない内容になる。
楽天ブックスで「手取り17万円からの貯金の教科書」を見る →
読んだ後にやること
アクション1: 給与振込口座と別に「貯金専用口座」を開設する
まず器を作ることが先決だ。ネット銀行(住信SBIネット銀行・楽天銀行など)は口座開設が無料で、自動振替の設定も容易だ。給与入金日の翌日に手取りの10%が自動で移動するよう設定する。最初の月は金額よりも「仕組みを作ること」に集中する。
アクション2: 固定費を全項目書き出して削減候補を1つ特定する
スマホ代・保険料・サブスク・家賃・駐車場代など、毎月必ず発生する出費をすべて紙かメモアプリに書き出す。その中から「なくても困らない、または安い代替手段がある」ものを1つ選んで今月中に対処する。全部やろうとすると止まるので、1つに絞ることが肝心だ。
アクション3: 直近1ヶ月の支出を「消費・浪費・投資」に分類する
クレジットカードの明細や銀行口座の引き落とし履歴を使い、先月の支出をすべて3分類に振り分ける。浪費の合計金額を出すだけで、どこを削れるかが具体的に見えてくる。家計簿アプリ(マネーフォワード ME など)を使えば分類作業は大幅に短縮できる。
億速が実際に読んで試したこと
読んだのは、毎月の給料日後に「また残高がほぼゼロになっている」と気づいた月のことでした。手取りは17万円よりは多かったのですが、「どこに消えているかわからない」という感覚はまったく同じでした。
実際に試したのは先取り貯金の自動化で、住信SBIネット銀行に貯金専用口座を作り、給与振込日の翌朝に月1万5千円が自動移動するよう設定しました。最初の月、食費が予算オーバーして焦りましたが、2ヶ月目からは自然と調整できるようになりました。「消費・浪費・投資」の3分類を使って先月の支出を見直したら、浪費が月9,400円あることもわかりました。
この本の良さは、「まず器を作る」という順番の正しさを教えてくれることです。貯金ゼロが続いている会社員に一番最初に読んでほしいです。
まとめ
「手取り17万円からの貯金の教科書」が伝えることは、収入が少なくても貯金は必ずできるという事実だ。そのために必要なのは根性でも我慢でもなく、先取り貯金の仕組みと固定費の見直し、そして支出の3分類という3つの型だ。
横山光昭が2万件の家計相談から抽出した再現性の高い方法論は、手取り17万円という具体的な数字を軸に整理されており、読んだその日から行動に移せる。貯金ゼロの状態から月1〜2万円の貯金を習慣化することが、この本の実質的なゴールだ。まず一冊読んで、仕組みを作ることから始める。