子どもの教育資金をどう積み立てるか、ずっと悩んでいた。

最初は「学資保険でいいか」と思っていた。でも返戻率を計算してみると、インフレ分を考慮したら実質マイナスになるケースが多いことに気づいた。それで親の新NISA口座でオルカンを積み立てる方向に切り替えたのだが、一つだけ引っかかりがあった。子ども本人の名義で非課税投資できないことだ。

2024年末にジュニアNISAが廃止されて以降、未成年向けの非課税口座は「空白」になっていた。その空白を埋める「こどもNISA(こども支援NISA)」が、2026年度の税制改正大綱に盛り込まれ、2027年1月のスタートが確定した。年間60万円・生涯600万円まで非課税で運用できる制度で、0歳から使える。子育て中の会社員にとっては、iDeCo改正と並んで2026〜2027年の最重要NISA制度改正といえる内容だ。


仕組み・背景を正確に把握する

ジュニアNISA廃止が生んだ「3年間の空白」

ジュニアNISAは2024年末をもって廃止された。廃止の直接的な理由は「使い勝手の悪さ」。原則として18歳まで払い出しができず、「教育費に使いたい時期に使えない」という不満が根強く、利用口座数は低水準のまま推移した。

廃止後、18歳未満を対象にした非課税投資口座は存在しない状態になった。2024年から2026年にかけて子どもが生まれた、あるいは子育て中の会社員は、親の新NISA口座で代わりに積み立てるか、課税口座を使うかの二択しかなかった。

こどもNISAの主な仕様

こどもNISAは2025年12月の税制改正大綱で制度設計が固まり、2027年1月に開始予定だ。正式名称は「こども支援NISA」。

項目こどもNISA(新)ジュニアNISA(廃止)現行新NISA(参考)
対象年齢0〜17歳0〜17歳18歳以上
年間投資枠60万円80万円360万円(積立120万+成長240万)
非課税保有限度額600万円400万円1,800万円
非課税期間無期限最長5年無期限
払い出し制限12歳以降は本人の同意が必要原則18歳まで不可なし
投資対象投資信託中心(つみたて枠に準拠)株・ETF・投資信託積立枠+成長枠

年間枠はジュニアNISAより20万円少ないが、非課税保有限度額は600万円(ジュニアNISAは400万円)と200万円多い。最大の改善点は「非課税期間が無期限」になったこと。ジュニアNISAは最長5年で非課税期間が終了するという設計上の欠陥があったが、こどもNISAでは現行新NISAと同様に無期限になった。

口座の仕組みと18歳以降の扱い

口座は親権者が子ども名義で開設し、原則として親が運用を管理する。12歳以降は払い出しに際して子ども本人の同意が必要になる点が、ジュニアNISAとの大きな違いだ。18歳になると本人の新NISA口座に自動移行する方向で設計されており、子どものうちに積み上げた非課税資産を成人後もそのまま運用し続けられる見込み。


具体的な数字で試算する

子どもの年齢別・最大積立シミュレーション

年間60万円(月5万円)をフルで積み立てた場合の試算。年利5%複利は、全世界株式インデックスの過去長期平均を参考にした目安であり、将来の運用成果を保証するものではない。

子どもの現在年齢積立可能年数非課税枠の活用総額年利5%複利での試算額(目安)
0歳18年1,080万円約1,810万円
3歳15年900万円約1,390万円
6歳12年720万円約1,015万円
10歳8年480万円約610万円
15歳3年180万円約205万円

0歳から始めれば18年間で1,080万円を投じ、5%複利なら1,800万円超に育つ試算。大学4年間の教育費(国公立で約480万円、私立文系で約690万円前後)を非課税で賄える水準だ。

生涯枠600万円に達するまでの年数は、年60万円フルで積み立てると10年。子どもが0歳の今すぐ始めれば10歳で満額到達し、以降は18歳まで運用益だけが積み上がる形になる。

親の新NISAと合算した場合の活用イメージ

積み立て先年間投資額非課税生涯枠月額換算
親の新NISA(積立枠)年120万円1,800万円月10万円
こどもNISA年60万円600万円月5万円
合計年180万円月15万円

年収600万円(手取り約450万円)の会社員が月15万円全額を投資に回すのは現実的ではない。自分の場合、親の新NISAを月5万円(年60万円)、こどもNISAを月3万円(年36万円)という組み合わせから始める予定だ。年間96万円でも20年続ければ複利効果は無視できない規模になる。

20.315%の課税がかかる通常の課税口座と比較すると、年36万円を10年間積み立てて運用益200万円が出たとすれば、非課税と課税での手取り差額は約40万円。これが二本立てNISAの実質的なメリットだ。


今すぐやること3つ

1. 2026年中に子ども名義の証券口座を開設・整備する

こどもNISA自体は2027年1月スタートだが、子ども名義の証券口座を今から開設しておけばスムーズに移行できる。SBI証券・楽天証券では現在でも未成年向けの総合口座を開設可能。マイナンバーカードの確認と子どもの本人確認書類を事前に用意しておく。開設後は2027年1月になったら「こどもNISA口座」に切り替え申請するだけで済む。口座開設に数週間かかるケースもあるため、早めに動く方がいい。

2. 2027年1月まで親の新NISA積立枠で教育資金を先行運用する

こどもNISAの開始まで5ヶ月ある。その間、親の新NISA(積立枠)でオルカンや全米インデックスを積み立てておく。2027年1月以降にこどもNISAをスタートさせた後も、親側の積立は継続する。「子ども用」「老後用」と心理的に分けるより、家計全体でどこに投じるかを一度整理しておくと管理がシンプルになる。

3. 月いくら積み立てるか、家計から逆算して今決める

「こどもNISAが始まったら考えよう」では後手になる。年間60万円(月5万円)がフル活用の上限だが、家計の余裕から現実的な金額を今のうちに試算しておく。無理に満額を狙わず「月2〜3万円から始めてボーナスで年2回追加」という積み立て設計が現実的な会社員が多い。決めたら自動積立設定にしておくこと。手動入金タイプは継続率が著しく下がる。


まとめ

こどもNISAは、ジュニアNISA廃止後に生まれた「非課税投資の空白」を3年ぶりに埋める制度改正だ。年間60万円・生涯600万円・非課税無期限という設計は、教育資金を本格的に非課税で積み上げるには十分な枠組みになっている。

自分が子どもの教育資金で迷っていたのは「どこに積み立てるか」の器がなかったからだった。こどもNISAが始まれば、子ども本人の口座でインデックス積み立てを回せる。大学入学までの時間が長いほど複利が働く。0歳なら18年、3歳でも15年の時間軸がある。

まずやることは証券口座の開設準備と月額設定の逆算。どちらも今日から動ける作業だ。2027年1月の開始時点でスムーズに動き出せるよう、2026年中に土台を整えておく。