副業を始めようと思ったとき、最初に感じたのは「自分に売れるスキルなんてあるのか」という不安だった。

製造業の社内SEとして日々の社内システム対応や業務改善を担っているが、それが「お金になる」とは正直ピンとこなかった。プログラマーでも、フリーランスデザイナーでもない。でも実際にクラウドワークスに登録して案件を探してみると、社内SEの日常業務そのままの案件がずらりと並んでいた。

2026年現在、副業を解禁する企業は急増している。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改訂を経て、「原則禁止」から「原則容認」へと方針転換する会社が相次いでいる。環境は整いつつある。あとは動き出すだけ、という状況だ。

クラウドワークスに登録してから月収3万円を超えるまで約4ヶ月かかった。最初の2ヶ月はほぼゼロ円。転換点になったのは「スキルの棚卸し」のやり方を変えたこと。この記事ではその過程を全部記録しておく。


仕組み・背景を正確に把握する

副業解禁の実態

2023年の厚生労働省ガイドライン改訂以降、「副業・兼業は原則容認」という方向性が国の方針として示された。2026年時点では上場企業の約6割が副業を容認する方向にあるとされ、製造業・IT業界でも少しずつ広がっている。

ただし「解禁」といっても会社によって条件が異なる。代表的な制約は以下のとおり。

  • 本業への支障禁止:勤務時間外・体調管理は自己責任
  • 競合他社への従事禁止:利益相反の回避
  • 情報漏洩の防止:社内情報を副業先に持ち出さない
  • 会社への事前申請:無断副業は懲戒の対象になりうる

副業申請書には副業先の業種・稼働予定時間・月収見込みを記載するのが一般的。先に確認してから動くほうが後々のトラブルを防げる。

クラウドソーシングの仕組み

クラウドワークスやランサーズに代表されるクラウドソーシングは、企業や個人が仕事を発注し、ワーカーが受注するマッチングプラットフォーム。案件は主に以下の2形式。

形式概要向いているケース
固定報酬型案件ごとに報酬額が決まっている単発・短期の作業系案件
時間単価型時給×稼働時間で報酬が確定継続的な業務サポート案件

社内SEが狙える案件は、Excelマクロ・VBA作成、社内システムの操作説明書作成、データ集計・整理、ITに不慣れな中小企業向けのシステム選定サポートなど。特別な資格は必要なく、日常業務の延長線上にある仕事が多い。

自分が最初にやらかしたこと

最初の2ヶ月間、ひたすらWebエンジニア向けの案件に応募し続けた。ReactもTypeScriptも実務経験がほぼない状態で、採用されるはずもない。提案を50件以上送って受注ゼロ。時間だけが過ぎた。

転換点になったのは「自分が日常的にやっている仕事」に絞ってプロフィールを書き直したこと。ExcelのVBAで社内の集計作業を自動化した話、PCトラブルの対応件数、業務フロー図の作成経験、そういった地味な積み上げを具体的に書いた。するとすぐに問い合わせが来るようになった。


具体的な数字で試算する

社内SEが副業で狙える案件の単価と月収を試算した。条件は「平日夜2時間・休日4時間」、月間稼働時間は約30時間。

スキル別・月収試算(稼働30時間/月)

スキル・案件種別時給目安月収試算(30h)難易度
業務フロー図・操作説明書作成1,500〜2,000円4.5万〜6万円
データ集計・Power Query整備2,000〜3,000円6万〜9万円低〜中
Excel VBA・マクロ作成2,500〜4,000円7.5万〜12万円
システム比較・選定サポート3,000〜5,000円9万〜15万円中〜高
IT顧問(継続サポート型)5,000〜8,000円15万〜24万円

※あくまで試算。案件の難易度・クライアント規模・交渉力によって変動する。

自分が最初に受注した案件は業務フロー図の作成で、固定報酬1万5,000円。3時間ほどで完了したので時給換算で5,000円になった。単価は低いが、実績ゼロを脱出するために割り切って受注した。2件目以降は単価が上がった。

副業収入と税負担の目安(年収別)

副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要(給与所得以外の所得として計上)。税負担の目安は以下のとおり。

本業年収副業月収年間副業収入追加税負担目安(所得税+住民税)
400万円3万円36万円約5〜7万円
500万円3万円36万円約6〜8万円
600万円5万円60万円約12〜15万円
700万円5万円60万円約14〜17万円

※経費(通信費・ソフト利用料等)を差し引いた所得で計算。青色申告を選択すると最大65万円の特別控除が受けられる。税額は試算であり、詳細は税理士へ確認を。

月3万円・年36万円の副収入を積立NISAに回すと、S&P500インデックスに毎月3万円追加投資する資金になる。本業の手取りを一切崩さず投資資金を確保できるのは、実際にやってみると思った以上に気分が違う。


今すぐやること4つ

1. 会社の就業規則を確認する

「副業禁止かもしれない」という不安を抱えたまま動かないほうがリスクは高い。まず就業規則を確認し、必要なら人事か上長へ副業申請の方法を聞く。多くの会社は申請ベースで認めており、一度聞いてみると意外とあっさり通るケースが多い。

2. スキルを「業務ベース」で書き出す

箇条書きでいいので「自分が普段やっていること」を15〜20個書き出す。プログラミングや資格がなくても、以下のような日常業務がそのままスキルになる。

  • ExcelやGoogleスプレッドシートで集計・グラフを作っている
  • 社内のPC設定・ネットワークトラブルをよく対応している
  • 新しいシステムを導入するとき評価・比較をしている
  • 手順書・マニュアル・議事録をよく作っている
  • 部署の業務フローを整理した経験がある

この一覧がそのままプロフィールの素材になる。「スキルがない」と思っているうちは棚卸しが甘い。

3. クラウドワークスに登録してプロフィールを埋める

登録は無料。プロフィールには「業種・経験年数・得意な作業」を具体的に書く。「社内SE 6年。VBAによる業務自動化を社内で10件以上実施した経験あり」という書き方でいい。社内実績も書いて問題ない。

最初の1〜2件は単価を相場より少し下げて受注し、レビューを獲得することを優先する。「実績ゼロ」の状態を早く脱出するほど、次の案件が取りやすくなる。

4. 副業収入の記録と確定申告の準備を始める

副業収入が発生した月からレシートや領収書を保管しておく。通信費(インターネット代の副業利用分)・クラウドサービス利用料・外付けストレージの購入費などは経費計上できる。Googleスプレッドシートで月次の収支を記録しておくだけで、確定申告時の作業が大幅に楽になる。

住民税の「普通徴収」を選択すると、副業収入が会社に判明するリスクを減らせる。確定申告書の提出時に普通徴収を選択できる。


まとめ

副業解禁が広がる2026年、「自分に売れるスキルがない」と思っている会社員ほど一度スキルの棚卸しをやり直してほしい。

自分も最初は「平凡な社内SEが副業なんて無理」と思っていた。でも日常業務を言語化してプロフィールに書いたら、問い合わせが来るようになった。月3万円は大きな金額ではないが、年36万円の副収入を積立NISAの資金に充てると「本業の手取りを使わずに投資を増やす」という状態が実現した。

最初の案件獲得までが一番しんどい。でもそこを越えると「自分のスキルは外でも通用する」という感覚が生まれて、本業の自信にも繋がった。副業は稼ぐだけでなく、スキルの棚卸しの機会でもある。

まずクラウドワークスに登録して、自分のプロフィールを書くところから始めてみてほしい。